個展折り返しました

展示一週目がおわりました。

4日ほど会場にいられたのでたくさんの方たちとお話しできて、

刺激的な一週間でした。

ふだん田舎にこもって制作をしているときとは違う自分になるというか、

上手く言えないけれど、体内の組成ががらっと入れ替わる変わる気がします。

内蔵も皮膚もうすい鎧を一枚まとった感じ。

学生時代、官庁でアルバイトをしていたときの感覚に似てる。

時々ならこれはこれで楽しいものです。

展示をしていると、しばらく会っていなかった人と会って、お互いの近況が話せるので

それも楽しみのひとつです。

来てくれる人が作品に対してかけてくれる言葉たち、

いいものもわるいものも全部うれしい。ひとつひとつ反芻しています。

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来週は29日と30日しかいられませんが、銀座のしずかな空間でお待ちしています。

一週間ほどしたら桜が満開になりそうです。









個展のおしらせ

3月18日から30日まで銀座のガレリアグラフィカで個展をします。

新作、近作10点程度の展示です。

18日、19日、22日、23日、29日、30日は在廊しています。


牛嶋直子 「 夢の続き 」

2019年 3月18日(月) − 3月30日(土) 11:00-19:00 日曜祭日はお休み

ガレリアグラフィカ 中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1F

http://galleriagrafica.com/jp/contact/index.html

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「 花と住む 」 910×910 2019年

デジャブ

最近病院に行くことが多い。

先日、夫が盲腸の手術をした。

その翌日に実家の母が膝の手術をした。

わたしはその両方に家族として付き添ったわけだけど、

ちがう土地のちがう病院であるにもかかわらず、

どこをとってもまったく同じだった。

不思議なくつしたと手術着で不安そうに歩いていく姿、

エレベーターの前でがんばってね とバイバイ、

術中に食べる味のしない昼食、

暇つぶしのPC、(なぜか仕事はかどる)

窓から差し込む陽光、

終わりました と呼ばれて奇妙な個室で受ける執刀医からの説明、

ストレッチャーで部屋に運ばれてくる朦朧とした意識の人、

みどり色の酸素マスク、

麻酔の抜けない話し方、

てきぱきした看護師さん、

痛み止めの問答、

そんな細かいことのひとつひとつが同じで、夢をみているみたいだった。

だめ偉人からの毛布

このごろ一段と冷えますね。

わたしの住む関東平野のはじっこにもこの冬初めての雪が降った。

カーテンを開けると広がるきらきらした世界。

ほんの5ミリくらいだけど、やはりいくつになってもわくわくする。

子どもが作った小さい雪だるまはお供え餅みたいでかわいい。

とけないように日の当たらないうす暗い北側に置いた。

最近、すきま時間を見つけては古い映画を観ている。

わたしが生まれる前後20年くらい。

タルコフスキー、ベルイマン、フェリーニ、リンチ など 

きっかけは友人のすすめだったのだけど、これが思いがけない癒しをくれた。

目に映るのは詩的で美しい世界。

そしてその世界の中は、

非現実的 記号的表現 子どもっぽいけど崇高な行い 理路が謎 説明しない 

過去と現在、夢と現実行ったり来たり 屈折した信仰 絡み合ってるけど愛 

みたいなことばかりなので、自分の生きてる日常がだいぶまともに思えるのだ。

前のnoteで 日常生活のまともがわからない悩みを書いたような気がするが、

そういう日々の小さいごちゃごちゃを別角度からさーっと流してくれるような力がある。

そして、見知ってはいるがいつになってもぜんぜん慣れない

「作品を作る」ということの背中をそっと押してくれる。

ありがとう、だめな偉人たち。

おじさんたちが葛藤しながら作り上げたものが、

何十年たっても人をあたためてますよーと伝えたい。

   

仮面をかぶれない

作家活動をはじめて約10年。

最近自分の身辺をあらためて見渡してみたら、アートにまつわるものばかりに

なっていることに気がついた。

目的を持って出かけていく場所もほとんどそう。

展覧会、イベント、ワークショップetc

顔を合わせる人も然り。

アート界隈はいろんな人がいる。ちょっと変わった人も多い。

その多様性がなんだかほっとする。

人としての規範を大きく外れないかぎり、ここではオールOK。

10年のうちに自分の中にこれが常態化しすぎてしまって、

たまに常識的な社会人としてのふるまいが必要な場面になると、

どうしたらいいかわからなくなってしまった。

ここはこのくらいのフランクさでいいんだっけ?

ここで本音を言ってしまっていいんだっけ?

と必要以上に考えてしまい、ものすごく緊張してヘトヘトになる。

特に母親としてふるまうときが顕著だ。

授業参観後の懇談会とか親子行事とか。

そつなくふるまえないことついて悩んでいるところに、

このあいだアーティストの友人にこんなことを言われた。

「牛嶋さんの絵はさ、もろに自分だよね。」 と。

あっ 絵もそうだったんだ・・

言われてみれば超納得。 

そうしたら俄然力がわいてきた。

もうこれ悩んでもどうしようもないじゃん、と。

フィットする顔が一枚しかないと何かと不便だ。

でも良い、これで。

対人関係はいつも通りオロオロしつつ、

自分まんまの絵を描いていけばいいや、

と開き直りに近い悟りを得た今日この頃である。

あたらしい年

年があけてけっこう経ってしまった。

からっからの北関東でなんとか生きてます。

ここのところ全然雨が降らない。

年末年始は体調があまりよくなくて、一日おきくらいに

謎なトラブルに襲われてぐったりしながら家事と制作をしていた。

2月にグループ展に参加するのと3月に東京で個展があるので、いま準備に追われている。

子をどこにも連れて行ってないので申し訳ないなと思いつつ。

2019年の抱負

ぼんやりする時間をへらす

小説を何冊か読む

ふたをきちんと閉める

カラオケのレパートリーをふやす

NO MOREふつかよい

作ったことがない料理を作る

植物を枯らさない

知らないまちを歩く

絵をたくさん描く

今年出会った映画 (2018)

10年くらい前までは映画を観るのが苦手だった。

だれかが作った世界観に有無を言わさずぽーんと放り込まれることに

不安があったのだと思う。

いつのまにか克服してしまったな。 

なんでだろう。 年齢?

今では日々のお楽しみの一つである。

今年は40の映画を観た。

映画館で見て好きだったのは、

シェイプオブウォーター/スリービルボード/万引き家族

カメラを止めるな/フロリダプロジェクト/きみの鳥はうたえる

秋頃は史実に基づいた映画をよく観ていた。

第二次世界大戦からの流れで、

ダンケルク → ウィンストンチャーチル → オペレーションフィナーレ

→ 顔のないヒトラーたち → 否定と肯定 

ホロコーストものは心の準備ができなかったので今回はやめておいた。

(いつか サウルの息子をみたい)

単品だとそれほど観たい気持ちがわかない作品でも、

一連の流れで出会うとモチベーションがあがる。

そしてひとつのことをいろいろな切り取り方で見つめると、

諦観にも似た妙なすがすがしさが生まれることに気がついた。

人間の性に対しての諦めなのかもしれない。

映画館以外で心に残っているのは、

アナイアレーション、ウィンドリバー、ノクターナルアニマルズ

どれも怖くて美しい。

来年はどんな物語に出会えるか今からとても楽しみだ。

青であそぶ 0829

T保育園ワークショップ二回目のテーマカラーは「青」

オーガナイザーのアーティスト中島佑太さんといっしょに。

各家庭にある「青いもの」を持ってきてもらった。

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出してならべてみる

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青いマスキングテープに耳を澄ませたりしつつ、

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制作スタート

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青い不織布が登場

すると、自分で身につけるものを作る子が急増

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やはり人気は 男子−忍者 女子−プリンセス。 

いつのまにか私もおしゃれ女子たちにデコられはじめる。

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なにかの装置

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散らばった青を集めるとまた新しい美しさ。

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言葉にすると一色だけど ほんとにさまざまで無限にも思えてくる。

こどもたちと「青」であそんだ夏の一日。





えのぐであそぶ 0824

園内に作品を展示している期間中に、園児たちと何度か遊ぶ機会があった。

一度目は絵の具のワークショップ。

園児たちは今まで先生に指示されたとおりにえのぐを塗ることはあっても、

自由に扱うことはなかったようなので、何を描くかは特に決めずに

混色を楽しんでみることにした。

まずは二歳児のクラス。

はじめは紙を触ってみる。

「ざらざらがおもて、つるつるがうらだよ」

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それから4つのグループに分かれて大きい画用紙に水を塗る。

ぺたぺた

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色を置いていく

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紙の端を持って傾けると色の水が行ったり来たり

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とちゅうで混ざりあって、ふしぎな色に変化していく。


しばらくすると水分を含みすぎた紙が破れて、びりびりに。

破いたり、足でふんでみたり。

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紙、水、えのぐと戯れる。


続いて5歳児のクラス。
まずはグループで制作。

えのぐを溶くのを手伝ってくれる子たちでぎゅうぎゅう。

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グループで色を3つ決めて紙に置いていく

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水を含ませた刷毛で色と色のあいだをにじませる

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どんな色ができたかな。

続いてひとりひとりの制作。

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じっと手を見る。

今日はいくら汚れても大丈夫。



さいごはみんなで鑑賞会。

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力作がたくさん出来ました。



























































小さい人たちとの取り組み

今年の夏は新しいことが多い。

北海道での滞在制作、そしてこの保育園との取り組み。

私にしてはめずらしく最近はけっこう外で動いている。

なんだかうれしい。

 

現在とある保育園に自分の作品を展示している。

「保育園内をミニ美術館にしよう」ということで園内のあちこちに絵をかけさせてもらった。

玄関から廊下、階段、踊り場、年長さんの保育室。

これはアーティスト派遣事業の一環で、

保育の現場にアートをという命題のもとに、

市内のいくつかの保育施設とその土地のアーティストが関わって、

化学変化的なコミュニケーションが生まれたら楽しいね という取り組みである。

企画発案者は友人でもあるアーティスト中島佑太くん。

その中のひとつの保育園に派遣アーティストとして関わらせてもらうことになった。

今回私が行くことになった保育園は、わりとスパルタンな体育会系の園で(以下T園とします)

日々の訓練の賜物なのか、みんな身体能力がひじょうに高い。

なんたって6歳児が全員逆立ちして歩きまわれるのだ。

(うちの子なんて10歳でせいぜいブリッジができるくらい)

うちの娘は自由も自由、自由すぎるくらいスーパーフリーダムな園に通っていたので、

見たことのない世界に正直少し戸惑った。

けれど園長先生とお話させていただくと、一環した保育理念と地域社会への責任感、

そして子どもに対する期待と愛情があって、(アメリカのプレッパーという人たちを思い出した)

私個人の子育て観とは少しちがうけれど、容易に否定できない説得力があるなと思った。

その園の最終的な目標は「みんなで美術館に行くこと」

みんなで美術館へ行ってアートに触れて、日頃の特訓の疲れを癒す。

その前段階としての園内ミニ美術館化計画。

そんなことで小さい人たちとの取り組みがスタートした。