夜一人の時間はだいたいラジオを付けている。
なんとなく耳を傾けながら 残った家事と翌日の準備をする。
先日、不思議な名前の昆虫学者が出ていた。
へーと思い聞いていると、まじめなのにゆるくて面白い。
美大にいそうな感じというか、妙なシンパシーを感じた。
「バッタを倒しにアフリカへ」は大学を出てから現在まで、前野ウルド浩太郎さんという
ふしぎな名前の学者さんがなめてきた辛酸の日々がライトな文体で綴られている。
わたしは虫が苦手なので、バッタ愛のくだりはわからなかったけれど、なりたかった職業になれたものの、
シビアな現実の中で身動きがとれない焦燥感はとても良くわかると思った。
研究を邪魔してくる要素が不可避であること(バッタが発生しなかったとか)も本当しんどい。
それでも前野さんは勇気とユーモアを持って前へ進もうとする。
言い訳や選り好みをしながらタイミングをうかがっていると、あっという間に時間がすぎてしまう。
100パーセントの仕事なんてなかなかない。
それがわかっていても腰が重い自分には、この人のむしゃらさがまぶしく映った。
自分を飽きさせないように工夫する、いろんなところに種をまいておく、
ここ一番のときはとにかく集中する、そういうことの大切さをあらためて考えさせられる。
良い本です。おすすめ。
後日談 この本は2017年の新書大賞をとったそうです。すごい。