個展折り返しました

展示一週目がおわりました。

4日ほど会場にいられたのでたくさんの方たちとお話しできて、

刺激的な一週間でした。

ふだん田舎にこもって制作をしているときとは違う自分になるというか、

上手く言えないけれど、体内の組成ががらっと入れ替わる変わる気がします。

内蔵も皮膚もうすい鎧を一枚まとった感じ。

学生時代、官庁でアルバイトをしていたときの感覚に似てる。

時々ならこれはこれで楽しいものです。

展示をしていると、しばらく会っていなかった人と会って、お互いの近況が話せるので

それも楽しみのひとつです。

来てくれる人が作品に対してかけてくれる言葉たち、

いいものもわるいものも全部うれしい。ひとつひとつ反芻しています。

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来週は29日と30日しかいられませんが、銀座のしずかな空間でお待ちしています。

一週間ほどしたら桜が満開になりそうです。









デジャブ

最近病院に行くことが多い。

先日、夫が盲腸の手術をした。

その翌日に実家の母が膝の手術をした。

わたしはその両方に家族として付き添ったわけだけど、

ちがう土地のちがう病院であるにもかかわらず、

どこをとってもまったく同じだった。

不思議なくつしたと手術着で不安そうに歩いていく姿、

エレベーターの前でがんばってね とバイバイ、

術中に食べる味のしない昼食、

暇つぶしのPC、(なぜか仕事はかどる)

窓から差し込む陽光、

終わりました と呼ばれて奇妙な個室で受ける執刀医からの説明、

ストレッチャーで部屋に運ばれてくる朦朧とした意識の人、

みどり色の酸素マスク、

麻酔の抜けない話し方、

てきぱきした看護師さん、

痛み止めの問答、

そんな細かいことのひとつひとつが同じで、夢をみているみたいだった。

だめ偉人からの毛布

このごろ一段と冷えますね。

わたしの住む関東平野のはじっこにもこの冬初めての雪が降った。

カーテンを開けると広がるきらきらした世界。

ほんの5ミリくらいだけど、やはりいくつになってもわくわくする。

子どもが作った小さい雪だるまはお供え餅みたいでかわいい。

とけないように日の当たらないうす暗い北側に置いた。

最近、すきま時間を見つけては古い映画を観ている。

わたしが生まれる前後20年くらい。

タルコフスキー、ベルイマン、フェリーニ、リンチ など 

きっかけは友人のすすめだったのだけど、これが思いがけない癒しをくれた。

目に映るのは詩的で美しい世界。

そしてその世界の中は、

非現実的 記号的表現 子どもっぽいけど崇高な行い 理路が謎 説明しない 

過去と現在、夢と現実行ったり来たり 屈折した信仰 絡み合ってるけど愛 

みたいなことばかりなので、自分の生きてる日常がだいぶまともに思えるのだ。

前のnoteで 日常生活のまともがわからない悩みを書いたような気がするが、

そういう日々の小さいごちゃごちゃを別角度からさーっと流してくれるような力がある。

そして、見知ってはいるがいつになってもぜんぜん慣れない

「作品を作る」ということの背中をそっと押してくれる。

ありがとう、だめな偉人たち。

おじさんたちが葛藤しながら作り上げたものが、

何十年たっても人をあたためてますよーと伝えたい。

   

仮面をかぶれない

作家活動をはじめて約10年。

最近自分の身辺をあらためて見渡してみたら、アートにまつわるものばかりに

なっていることに気がついた。

目的を持って出かけていく場所もほとんどそう。

展覧会、イベント、ワークショップetc

顔を合わせる人も然り。

アート界隈はいろんな人がいる。ちょっと変わった人も多い。

その多様性がなんだかほっとする。

人としての規範を大きく外れないかぎり、ここではオールOK。

10年のうちに自分の中にこれが常態化しすぎてしまって、

たまに常識的な社会人としてのふるまいが必要な場面になると、

どうしたらいいかわからなくなってしまった。

ここはこのくらいのフランクさでいいんだっけ?

ここで本音を言ってしまっていいんだっけ?

と必要以上に考えてしまい、ものすごく緊張してヘトヘトになる。

特に母親としてふるまうときが顕著だ。

授業参観後の懇談会とか親子行事とか。

そつなくふるまえないことついて悩んでいるところに、

このあいだアーティストの友人にこんなことを言われた。

「牛嶋さんの絵はさ、もろに自分だよね。」 と。

あっ 絵もそうだったんだ・・

言われてみれば超納得。 

そうしたら俄然力がわいてきた。

もうこれ悩んでもどうしようもないじゃん、と。

フィットする顔が一枚しかないと何かと不便だ。

でも良い、これで。

対人関係はいつも通りオロオロしつつ、

自分まんまの絵を描いていけばいいや、

と開き直りに近い悟りを得た今日この頃である。

あたらしい年

年があけてけっこう経ってしまった。

からっからの北関東でなんとか生きてます。

ここのところ全然雨が降らない。

年末年始は体調があまりよくなくて、一日おきくらいに

謎なトラブルに襲われてぐったりしながら家事と制作をしていた。

2月にグループ展に参加するのと3月に東京で個展があるので、いま準備に追われている。

子をどこにも連れて行ってないので申し訳ないなと思いつつ。

2019年の抱負

ぼんやりする時間をへらす

小説を何冊か読む

ふたをきちんと閉める

カラオケのレパートリーをふやす

NO MOREふつかよい

作ったことがない料理を作る

植物を枯らさない

知らないまちを歩く

絵をたくさん描く

今年出会った映画 (2018)

10年くらい前までは映画を観るのが苦手だった。

だれかが作った世界観に有無を言わさずぽーんと放り込まれることに

不安があったのだと思う。

いつのまにか克服してしまったな。 

なんでだろう。 年齢?

今では日々のお楽しみの一つである。

今年は40の映画を観た。

映画館で見て好きだったのは、

シェイプオブウォーター/スリービルボード/万引き家族

カメラを止めるな/フロリダプロジェクト/きみの鳥はうたえる

秋頃は史実に基づいた映画をよく観ていた。

第二次世界大戦からの流れで、

ダンケルク → ウィンストンチャーチル → オペレーションフィナーレ

→ 顔のないヒトラーたち → 否定と肯定 

ホロコーストものは心の準備ができなかったので今回はやめておいた。

(いつか サウルの息子をみたい)

単品だとそれほど観たい気持ちがわかない作品でも、

一連の流れで出会うとモチベーションがあがる。

そしてひとつのことをいろいろな切り取り方で見つめると、

諦観にも似た妙なすがすがしさが生まれることに気がついた。

人間の性に対しての諦めなのかもしれない。

映画館以外で心に残っているのは、

アナイアレーション、ウィンドリバー、ノクターナルアニマルズ

どれも怖くて美しい。

来年はどんな物語に出会えるか今からとても楽しみだ。

滞在制作を終えて

数日前に自宅に戻ってきた。

久しぶりの我が家なので感慨深いのかなと思っていたが、

なんだか知らない人の家みたいだ。

毎日居たときは気がつかなかったことがわかる。

その客観性を活用して、とりあえず大掃除をした。

今の自分には必要ないものがたくさんあった。

 

札幌での滞在制作はわたしにとって大きいことで、

頭の中が三回転半くらいした感じがする。

いろんなことを感じたし、考えた。

新たな問題点も出てきたけれど、風通しはよくなった気がする。

 

うれしい出会いもたくさんあった。

 

雪に埋もれた天神山も見てみたいので

冬にまた出かけてみようと思う。

AIR day14

最終日は朝に出発するので今日が実質最終日。

晴れてほしかったけど連日の雨。

このところお日さまを見てない。

 

午前中はフルパワーで荷造りと大掃除をして、

午後は舞台を観に出かけた。

先日稽古を見学させてもらった イレブンナインの

「12人の怒れる男」

台詞も動きも稽古のときとはかなりちがって、興味深く観た。

やり取りを重ねて練られた落としどころを知れてよかった。

 

とはいえ 大人の男12人が2時間、ずっと怒鳴りあっているので

けっこう消耗し、最後はあたまがくらくらになってしまった。

あんなに大声出している人を見るなんてこと今までなかったかもしれない。

劇ではあるけど、やはり自分は感情的にわめきたてる人に対して

恐怖心が強いみたいだ。

これを一日二公演・・  俳優さんてすごい。

 

観劇後は円山公園へ。

気になるお店があったので足をのばしてみた。

マニアックな品揃えのお店で、個人的に心ときめくものが

いっぱい。北欧の木のフォークを買った。

すごくおしゃれな空間なのにレジのおねえさんがTBSラジオ

(北海道だとHBC?)を聞きながら編み物していてよかった。

 

2週間の滞在ですっかり慣れた道を歩きながら

北関東に帰りたいような帰りたくないような気分に。

レジデンスに戻って、残った食材で晩ご飯。

北海道に来てはじめて見た えぞゆきのした というキノコが

マイブームで、それを今夜もおみそしるにした。

となりの卓では香港の若いアーティストがしゃぶしゃぶをしていたのだが

生のとうもろこしやチンゲンサイやかぼちゃや海老などを入れていて

おもしろかった。

その横ではニュージーランドのファミリーが英語で九九を言いながら

卓球のラリーをしている。

さらにその横では近所の高校生カップルがくっついて座っている。

 

いろんな人が入り交じっていて楽しいレジデンスだった。

また来ようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AIR day12

13時から滞在者のPaul Hazelさんのトーク。

天神山の一階ギャラリーにて。

インターネット上のフリー素材をランダムに構成して

それを自作の音楽と組み合わせて映像作品を作っているとのこと。

Paulさんはクールでシャイで口数が少ないので、

奥さんのHeatherさんがそれを補って説明を加えていて

すてきなコンビネーション。

おやつパンを食べながらの和やかな会だった。

 

夕方から映画館へ。

娘のリクエストで「インクレディブルファミリー」

よく知らない地の映画館に行くのはわくわくする。

夏休みだったので満員だった。

映画は、展開に関しては始めの方でなんとなくわかってしまったけれど

ひとつひとつの描き込みや音楽がすばらしかった。

スーパーヒーローに依存しつつも彼らに偏見をもっている社会。

ダイバーシティと 女性・男性の社会的な立場、

そしてそれらの共生についての映画だったように思う。